映画『HOT SNOW』脚本編

脚本についての感想をまとめてみました。


雑感の延長のようなものですが。

何度も言いますが、今回この低予算短期間製作作品にも関わらずこの思いのほか上出来具合は何がよかったのだろうかと考えたところ、たいがいそういう時はプロデューサーか演出か脚本かで判断するんですが、やっぱり脚本ですね。


原作・脚本でひかわかよさんという方が書かれたようですが、これまでのお仕事はコチラです。

残念ながら『戦場のなでしこ隊』しか観たことないですが、あのドラマも面白かったです。『ブルータス〜』なんてたったこの前だから知ってれば観ればよかった…。


これももう前々から何回も書いてて申し訳ないんですが、自分なりに「ドラマ(映画)が最低限おもしろくなる3つの法則」ってのがありまして

1.早急にキャラを確立させる
2.無駄な伏線を張らない
3.すべてのキャラに落とし前をつける

ってこの3つなんですが、今回の映画はこの3つがすんなりと成り立っていた気がするのです。とにかく無駄がない。無駄がないから80分と言う一見短いんじゃ?と思える長さでもきちんと詰まって話がまとまってました。

1.のキャラの確立ですが、こちらは脚本家さんだけじゃなくて監督やプロデューサーと話し合いながら決めて行く要素も大きいとは思いますが、監督さんも舞台挨拶でおっしゃってたように8人に自分以外のメンバーにアンケートを取っただけあって、物語の早いうちから分かりやすいキャラが与えられていました。もちろん全部が全部当て書きではないでしょうが。いやむしろさっきゅんが一番わかりにくかった気もしないこともないwどうせみんなにバカって書かれたんだろうからもっとバカキャラを確立させればよかったのにとちょっと残念でしたw
ナンパな渉、真面目な彰彦、バカっぽい?宗司、悩み多きクールな鷲、泣き虫の勇、本が好きな正克、美南のことを一途に好きな徳昭、楽しいこと全般が好きな史也。それぞれちゃんと成り立たせてくれてありがとう。


2.の無駄な伏線を張らないですが、低予算なだけに粗が目立って「あれ?伏線?」かと疑うところはありましたがただの編集ミスなだけかと思いますw基本的にとにかく無駄がなかった。割と欲張らずシンプルに的を絞ったのがよかったのかと思います。タイムスリップものはただでさえツッコミ始めると破綻してる部分が目立ってくることが多いと思うのですが、ツッコむ隙を与えない程度にスピーディーに無駄なくまとまってた気がします。


3.そしてすべてのキャラに落とし前をつける、ですが、ほったらかしのものが本当に無くて全部片付いたと思います。これっていろんなドラマ観てても映画観てても「あれ?あれどうなった?」って意外と片づけられなくてほったらかしの場合のものも多くて、クソでもカスでもいいからちゃんと落とし前つけろや、って思うことがほんとに多いのだけど、今回だけはもうスッキリさっぱり。もやもやが残って終わるとかが無くて本当によかったと心からw特に最後の過去組のそれぞれのその後はうまくまとまってたと思います。


タイムスリップものって本当に「元の世界に帰れる」から成り立つ話だとつくづく思います。これが戻れなかったらもう永遠にモヤモヤしっぱなしなんです。
恐らく私が観た中で、唯一帰れなかった話じゃなかろうかと今でもモヤモヤしてる話が『NASA 未来から落ちてきた男』です。
あらすじは、個人サイトさんのまとめですがコチラがわかりやすいかと。
世にも奇妙な物語』の前身となったドラマです。91年夏に放送されて1回しか観てないにも関わらずとても記憶に残ってるドラマです。ほんと後味が悪かったのに…^^;


『HOT SNOW』は観る前から「そりゃ戻れるんだろうな」ともちろん思ってたし、真田の台詞でそういう伏線もあったから何の心配もしてなかったけど、ていうか帰れなきゃ話にならないんだけど、いつもこの『NASA〜』のドラマが頭にあるから、「ほんとタイムスリップものは必ず元の世界へ帰らせてあげて><」ってのがあります。


ちょうどさっきゅんの台詞だった「俺たち、この世界にいちゃいけない人間なんだよな…」ってのが心に染みますね。あのセリフをさっきゅんが100%理解して喋ってたかが本当に心配ですがw「そこまでアホか?」と聞かれれば「そこまでアホなんです><」って胸張って言うしかないくらいw


そういうわけでいい脚本でした。まだこれからの脚本家さんのようなので、ひかわさんのこれからに期待しています。